昔の自慢話シリーズその3・接近遭遇

コラム

~日本アマチュア将棋連盟機関紙『アマレン』より転載~

リレーエッセイ「Evergreen」は、二〇〇二年十月より日本アマチュア将棋連盟の
機関紙『アマレン』の一コーナーとして連載されているエッセイです。
「Evergreen」は共通の研究会憲章を持ち、相互交流を図っている青葉将棋研究会・
銀河将棋研究会・太陽将棋研究会の三団体が持ち回りで担当しています。このページ
では太陽研会員が寄稿したものを、日本アマチュア連盟から許可を得たうえで、転載
しています。

 

近所の書店で偶然「乱視読者のSF講義」という本に目がとまったのは、元々SF小説が好きだからなのですが、著者名を見て「おっ、これは」とノータイムで購入しました。詰将棋で有名な若島正氏がSFマガジンに評論を連載していたのは知っていましたが、単行本を見たのは初めてでした。
さてそこで自慢話は五十年前に遡ります。詰パラ一九六六年六月号の「詰将棋幼稚園・松組」に拙作第1号が出題されているのですが、同じ六月号の幼稚園結果発表欄で当時中学生の若島正氏が「竹組」1位になり初入選しているのを最近発見したのです。当時の幼稚園は松竹梅の三組があって、解答者の投票で各組1位が入選というルールでしたが、拙作は文字通りの拙い作で結果は涙の最下位でした。しかし拙作第2号は、同年九月号の結果発表欄を見ると惜しくも竹組2位と健闘し、そのうえ図面の横に、おお!なんと若島正氏の短評が「最終手の成不成を限定したら尚よかった」と添えられているのを見つけてびっくり、嬉しくなりました。
袖振り合うも多生の縁と言うではありませんか。エバーグリーンの貴重な紙面に他愛ない私事を書いて恐縮の極みですが、有名人との接近遭遇を喜ぶ単純無邪気に免じて何卒お赦しのほどを。「乱視読者のSF講義」は面白かったです。若島先生、もしお会いする機会があったら本にサインしてね。
(二〇一六年二月号 M)

 

 

 

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