最近、将棋大会での勝率が落ちている。しかし、変なことにアマ名人戦の県代表に
なったりしている。要は、調子の波が激しいのだ。
調子について思い出すのは、木村義徳プロの『弱いのが強いのに勝つ法』だ。これ
によると、同じ人でも「強い時」と「弱い時」では角一枚の差があるそうだ。この現
象を利用し、弱者が強者を倒すことができるらしい。
では、相手の「弱い時」をどのように作るかだが、得意形を作らせない、粘らせな
い、負けのプレッシャーを持たせる、だそうだ。もっと重要な自分の「強い時」は逆
で、得意形に誘い込む、短手数決着、負けて元元、だそうだ。
思い返すと勝ち進んだ日は「強い時」の条件が見事そろっていた。自分の弱さを正
確に認識する必要があるかもしれない。
木村先生が44歳当時、居飛車党に転向しA級八段に昇った時の話である。遅咲き
の活躍は話題になった。私もその年齢になり、思い返した次第。
(二〇〇九年一月号 A)