将棋という「日常」

コラム
 昨年末、太陽将棋研究会は設立十周年を迎えました。この間、幸か不幸か規模があま
り大きくなることもなく、メンバーの入れ替わりも少なく、奇妙な安定が続いていまし
た。
 これまでの十年がこんな感じだったので、これからの十年もこんな感じなのか・・・。
何の根拠もなくそう思っていたのですが、そんな思いを根本から覆す状況になりました。
 言うまでもなく、先月起こった東北関東大震災。連続していた「日常」が突然断ち切
られる喪失感。ふだん考えていないようなことを考えさせられました。
 そんな中、20日に予定していた十周年の記念行事をどうするか――。
 当然、延期も考えられましたが、参加者や会場の問題がある程度クリアになったので、
ほぼ予定通りの開催を決定。
 他団体との対抗戦に、岡崎洋六段の解説会。初めての企画で、それ自体は「非日常」
のものでしたが、将棋を指すという「日常」がこれほど貴重なものなのかと、初めて感
じたような気がします。
 被災された皆様には心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早く、仲間と将棋を
指せるという「日常」が戻ることを祈っています。
   (二〇一一年四月号 T.T)