「近代将棋休刊」に思うこと

コラム
 近代将棋が5月発売の6月号で「休刊」となりました。
 自分にとっては毎月購読している将棋世界ほどなじみはありませんが、アマチュア
大会の情報や詰将棋に力を入れていて、将棋世界にはない特色がありました。
 巻末の「休刊のお知らせ」には「・・・連綿と続いた一つの時代が情報の多様化に
より終焉を迎えたように思います。こうした時代の変化を見るにつけ、弊誌も自らが
担い続けてきた使命の完了を予感し・・・」と記されています。
 確かに時代は変化し、情報は多様化しています。多様化のみならず、そのスピード
は二十年前、十年前の比ではなく、スピードだけでは月刊誌に勝ち目はないでしょう。
 でも、求められているのはスピードだけではありません。移ろいやすいネットの情
報に対し、月刊誌の連載記事は定点の役割を果たせるはずです。
 近代将棋にも昔は「金子教室」などの骨太な記事があったと聞きます。これに対し、
最後の6月号に、定点としての役割を果たせる記事がいくつあったでしょうか。
 内部事情を知らない者には「使命の完了を予感し」の表現が、他人事としか捉えて
いなかったのでは?と感じられてしまい、残念です。
   (二〇〇八年七月号 T.T)