王と玉

コラム
 対局の作法に、上位者または目上の人がまず王を置き、そのあとで相手が玉を置く、
というのがあります。大抵の人は知っていますが、あまり気にしない人もいます。作
法通りにと思っても、相手が付き合ってくれないとできません。
 初対面の場合そもそもどっちが上位者か、手合カードの段級をちらっと見たりしま
せんか? 相手が上位者の場合、すぐに王を置いてくれれば解決ですが、手近にある
駒からランダムに並べることにしている人だと、少し待っていないといけません。そ
ういうときは先に玉のほうを自陣に置いてしまうのが手筋です。相手に王を譲ればカ
ドが立たないだろうという読み筋です。私が下位です、と自己申告して王を差し出す
軽手もあります。段位は自分が上でも、相手の方が年長の場合などは、すこし迷いま
すが、王を譲る手が明快でしょう。
 ところで先日小さな子供と指したとき、私が上位者でしかも明らかに年上なので王
でいいよなと思って定位置に置いたらその子も自然に玉を置いたので一安心。そのあ
とも左右交互に金銀桂ときました。そこで、次の一手に或る期待(一番左の歩!)を
・・・・残念ながら私と同じ左香でした。                                                
   (二〇一三年二月号 M)