選手を駒のように使うには

コラム
 そろそろ優勝が決まるこの時期、プロ野球を楽しんで見ています。選手のプレーも
熱いが監督の采配も面白い。その選手起用ですが、昔と比べると選手の使い分け、分
業制が進んだようです。昔は「管理野球」「選手を駒扱い」と批判されていたもので
した。
 もっとも、いまだに「駒」という言葉が、選手に冷たい采配を意味していることに
は、将棋ファンとしては不満なところです。
 場面に応じた起用は、レギュラーの実力がない選手も一芸だけで出場できるし、交
代させられる選手も面目が立つ、など選手にも温かい采配だと思うのです。そして、
個性と局面に適した起用は、まさに駒の使い方と同じですから、選手を駒のように使
える監督は名将と言えるでしょう。
 ただ、駒はどんな能力を持つか事前に分かっていますが、選手の能力は使ってみる
まで分からない。そこで、選手を駒のように使うには、選手の特徴と限界を知ること
から始めなければなりません。それには普段から観察し、試合に出し、失敗も許す。
「種をまき、水をやり」と評する人もいますが、名将は一日にして成らず、でしょう
か。
   (二〇〇九年十月号 K)