「準備すること」

コラム
 みなさんは将棋を指すにあたって、どんな勉強をしていますか? 
 わたしは以前から詰め将棋を解くには解いていたのですが、正直な話、根気が必要
で地味にキツイこの勉強法があまり好きになれませんでした。いま奨励会で活躍して
いる若い子が「詰め将棋を解くのは楽しい」とわたしに話してくれた時には驚いた。
(楽しい?そんな人がいるんだ!)
 しかし、齢40台に突入し棋力上昇はおろか現状維持も難しい昨今、どうしたら勝
てるだろうと臨床実験を重ねた結果、将棋センターや大会の会場に向かう電車の車中
で易しい短手数の詰め将棋を数多く解くとなぜだか不思議と勝率が上がることに気が
付いた。そして後日、歌って踊れる、あのお方も実行しているのを偶然にこの眼で目
撃してウラも取れた!
 因果関係はわたしの頭では分からず、理論的に説明しろと言われれば、わたしはき
っとうまく説明できない。それはあたかも激しいスポーツを行う前のストレッチや準
備体操の如く。「詰め将棋を制する者は将棋を制する」自分を信じるのみ…。
 ただ、たくさん解いてもその道中で、お腹いっぱいになるまで食事をとったり、将
棋仲間とバカっ話に夢中になるとその効力も無効になることは賢者のみなさんには、
釈迦に説法ですね。(多数実験済み)
   (二〇一四年十月号 M)