将棋大会での服装

コラム
 社会に出て、ある程度のお金がたまった頃、お洒落に興味を持ったことがある。と
は言え、流行は追い始めるとキリがない。長く着られて良いものを、と方向を変えた
ら、結局、ごく当たり前の保守的な服ばかりになってしまった。けれども、それでよ
かったと思う。むしろ「真面目な服」を見直す機会になった。
 将棋大会に行く時は、値段に関係なく色や清潔感で選んでいるが、最近は、普段よ
り少し派手で堅い服装を心がけている。「真面目」と「伊達」を程よく含んだ服装は
将棋に合うと思うし、気合が自然に入る。理想の一着はまだ見つからないのだが、い
つか手に入れたい。
 ところで、周りを見渡すと、いかにも普段着という方が多い。将棋の普及という点
で見れば残念なことだ。新しい趣味を選ぶ過程では、先達の人達がカッコイイかどう
かは、チェック項目の一つになる。ダンスや茶道などと比べると損をしていると思う。
 将棋を知らない子供が、たまたま会場を覗いて「かっこいい・・」とつぶやく、そ
んな雰囲気の中で対局したい。
   (二〇〇六年五月号 K)